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突拍子もないことを思いついたときにメモするためのブログ

SF初心者向け。映画『インターステラー』を100倍楽しむための予習用SF作品4つ+α

(100倍は言い過ぎたかもしれないですが。)

映画『インターステラー』を観てきました。

大作SFモノとしては過去にほとんど類を見ないほどの傑作で、映像・脚本・音楽・キャスト等どれも素晴らしいのでぜひ映画館に観に行ってほしい作品なのですが、「SF」というジャンルにあまり触れたことのない人にとっては、ちょっと難解じゃないかなと思うような部分もありました。というのも、SF作品は往々にして、過去のSF作家たちが積み上げてきた知識の蓄積を前提としてシナリオや舞台設定がつくられていることが多いからです。*1

あまりSFになじみのない人にインターステラーをオススメするとき、「SFというジャンルの過去の蓄積(前提知識・不文律・お約束……そして何よりSFの面白さ)」を予習するのに適した作品を4つほど挙げてみました。映画も公開中ですし、なるべくライトに読める、短い作品を選びました。*2

 

1.『幼年期の終わりアーサー・C・クラーク

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

 

インターステラー』の監督であるクリストファー・ノーランは、アーサー・C・クラークの古典的名作『2001年宇宙の旅』から多くのインスピレーションを受けたことを語っており、実際に映画のいたるところに『2001年宇宙の旅』へのオマージュというかリスペクトを感じる箇所があるのですが、『2001年宇宙の旅』の元ネタともいうべき作品がこの『幼年期の終わり』です。どちらも読むに越したことはないのですが、『幼年期の終わり』の方が読みやすい(わかりやすい)ので、初心者にはこちらがおすすめです。「宇宙への旅」「高次の存在との遭遇」「人類の未来」といった、後世のSFの一大テーマとなるエッセンスがぎっしりつまった古典的名著です。

 

2.『星を継ぐもの』ジェイムズ・P・ホーガン

星を継ぐもの (創元SF文庫)

星を継ぐもの (創元SF文庫)

 

月面で見つかった5万年前の遺体。チャーリーと名付けられたこの遺体の正体を探るため、科学者たちが幾多の検証を試みる。果たしてチャーリーは何者なのだろうか? というのがざっくりとしたあらすじですが、科学とミステリーが合わさったかのごとき傑作。ひたすらに仮説と検証を繰り返しながら連綿と続いていくストーリーにぐいぐい引き込まれ、一気に結末まで駆け抜ける感じです。仮説・検証・仮説・検証……一見すると地味な展開のように聞こえるかもしれませんが、最初から最後まで飽きさせることなく、重厚なミステリーを含み、物語は勢いよく進んでいきます。

 

3.『ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選』大森望ら訳

ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)

ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)

 

SFといえばタイムスリップ(タイムワープ,タイムリープ)ということで、「時間(時空)」をテーマにした名作短編小説のアンソロジーが『ここがウィネトカなら、きみはジュディ』です。『インターステラー』は、宇宙の旅であると同時に、時空(時間と空間)の旅の物語でもあります。SFというジャンルが培ってきた「時間」の世界を知るにはうってつけの作品群です。*3

 

4.『紫色のクオリアうえお久光 

紫色のクオリア (電撃文庫)

紫色のクオリア (電撃文庫)

 

ここでまさかのラノベからの選出。ですが侮ってはいけない。個人的にはこの作品を、日本のハードSF短編の最高傑作のひとつだと思っています。

人間がロボットに見える少女とその友人とのほのぼのとした日常……と思いきや、物語は爆発的な急展開を見せます。二重スリット実験・光は波か粒子か?・エヴェレットの多世界解釈・並行世界・シュレーディンガーの猫・クオリア等、中二病なら誰でも一度は聞いたことのあるキーワード・テーマを多く援用しながら、壮大なスケールと圧倒的なスピードで物語は展開し、そして収束していきます。

この作品は『インターステラー』を観る上では欠かせないテーマ「宇宙とは何か?」「時間とは何か?」「異次元とは何か?」「光とは何か?」そして「人の心」「愛」が徹底されているし、またその結末も映画を観る上で絶対に無駄にならないことをお約束します。

 

+αとして、ナショナルジオグラフィックで放送された『宇宙~時空超越の旅~』を観るのもオススメします。『インターステラー』の登場人物の多くは科学者で、彼らの宇宙物理学の用語や知識はとくに劇中で詳しく説明されることもないので、「相対性理論って何ぞや?!」「え、なんで強い重力に近づくと時間がゆっくりになるの?!」みたいな人にはとくにオススメの優良番組。

 

*1:ノーランは制作にあたってインスピレーションを受けた作品として『2001年宇宙の旅』『ブレードランナー』等を挙げていますが、これらもやはりSFの前提知識がないと「???」となってしまうような部分がないとはいえません(特に前者)。

*2:もちろんSFの面白さを存分に理解してもらうにはこれでは不十分だと思いますが、とりあえず『インターステラー』を最低限楽しむためにはこの程度読んでおけば大丈夫、というラインで選びました。

*3:また、『インターステラー』が取り扱う時間・空間のテーマ性は、ノーランの前作『インセプション』で打ち立てた時空的な概念を見事に回収し、それをより発展的に昇華させたものであるようにも思いましたので、『インセプション』をまだ観てない方はそちらもオススメです。